ドイツ語を読むための「動詞」の知識

動詞の不定詞

動詞の基本的な姿は「不定詞」と呼ばれます。 ドイツ語の不定詞は、語幹不定詞語尾から成っています。不定詞語尾は次の2種類です。

  • -en
  • -n

辞書に載っている動詞は、不定詞が見出し語になっています。 不定詞は名詞・代名詞の単・複、格、時称などに応じて語形が変化しますが、これを「人称形」と呼びます。  

直接法現在形

弱変化(規則変化)強変化
spielen (演奏する)arbeiten (働く)blasen (吹く)geben (与える)
単数ichspielearbeiteblasegebe
er/sie/esspieltarbeitetblästgibt
複数wirspielenarbeitenblasengeben
siespielenarbeitenblasengeben

不規則変化
haben (持っている)sein (在る)mögen (好きだ)weissen (知っている)
単数ichhabebinmagweiß
er/sie/eshatistmagweiß
複数wirhabensindmögenwissen
siehabensindmögenwissen
  • 敬称の”Sie”(あなた)は3人称複数と同じ変化をします。

弱変化動詞の人称語尾

  • 1人称単数:” -e “
  • 3人称単数:” -t  ” または ” -et “
  • 1人称複数・3人称複数: ” -en ” つまり不定詞のまま

強変化動詞の人称語尾

日常的によく使われる動詞は、3人称単数形で幹母音が変化します。

  • a → ä
  • e → i  /  ie

動詞の3基本形

動詞は不定詞と過去形、過去分詞の3つの形を「3基本形」と呼んで3つのパターンに分類されます。  

不定詞過去形過去分詞
規則動詞(弱変化)語幹-en語幹-t-ge-語幹-t
語幹-en語幹-t-語幹-t (※1)
語幹-en((※2)語幹-et-ge-語幹-et
強変化動詞語幹-en幹母音の変化ge-幹母音の変化した語幹-en
混合変化型動詞語幹-en幹母音の変化-t-ege-幹母音の変化した語幹-t

※1 -ieren, -eienで終わる外来語、アクセントが第1音節にない動詞 

※2 d/tで終わるもの、m/nで終わりその前がh/l/r以外のもの

規則動詞の例: spielen   /    spielte   /   gespielt   (演奏する強変化動詞の例

  1. blasen         /   blies      /   geblasen   (吹く)
  2. genießen   /   genoß   /   genossen  (楽しむ)
  3. klingen       /   klang    /   geklungen   (響く)

 混合変化型動詞の例: senden   /   sandte   /   gesandt      (送る)  上記の規則に収まらない不規則動詞

不定詞過去形過去分詞
seinseinwargewesen
habenhabenhattegehabt
werden(なる)werdenwurdegeworden
強変化動詞:幹母音の変化
不定詞過去形過去分詞
[ai}
beisen
reiben
[I] / [i:]
biß
rieb
[i] / [i:]
ge-biss-en
ge-rieb-en
[i:]
fliesen
fliegen
[o] / [o:]
floß
flog
[o] / [o:]
ge-floss-en
ge-flog-en
[I]
finden
schwimmen
[a]
fand
schwamm
[u] / [o]
ge-fund-en
ge-scwomm-en
[e]
helfen
essen
[a] / [a:]
half
[o] / [e]
geholfen
ge-gess-en
[e:]
stehlen
lesen
[a:]
stahl
las
[e:] / [o:]
ge-stohl-en
ge-les-en
[e:] / [e]
bewegen
schmelzen
[o:] / [o]
bewog
schmolz
[o] / [o:]
bewog-en
ge-schmolz-en
[a] / [a:]
fallen
fahren
[i:] / [u:]
fiel
fuhr
[a] / [a:]
ge-fall-en
ge-fahr-en
[aʊ / ai / o: / u:]
laufen
rufen
[i:]
lief
rief
[aʊ / ai / o: / u:]
ge-lauf-en
ge-ruf-en

直接法過去形

ドイツ語において、過去形は書き言葉で使われます。話し言葉で過去を語るには通常、完了形がつかわれるのです。

弱変化(規則変化)強変化
spielen hörenblasenklingen
単数ichspieltehörtebliesklang
er/sie/esspieltehörte
bliesklang
複数wirspieltenhörtenbliesenklangen
siespieltenhörtenbliesenklangen

不規則変化強変化
haben seinwerdenwissen
単数ichhattewarwurdewußte
er/sie/eshattewar
wurdewußte
複数wirhattenwarenwurdenwußten
siehattenwarenwurdenwußten

過去分詞

過去分詞は形容詞的に名詞を修飾するほか、助動詞とともに「完了形」「受動文」を作ります。

用法

  1. 助動詞との結合;完了形・受動文の形成
  2. 本動詞との結合;他動詞の過去分詞は「〜された」、自動詞の過去分詞は「〜した」の意味になる。
  3. 付加語的用法;形容詞に準じる格変化をして名詞に付加される。
  4. 過去分詞句;補足成分・添加成分を伴う副詞的用法。分詞句と主文は必ずコンマで区切られる。

2. Diese Theater bleibt den ganzen Tag geschlossen. この劇場は朝からずっと閉められたままだ。 Sein Spiel scheint gelungen. 彼の演奏は成功したように思える。 4.  In der Stadt angekommen, ging er sofort in die Bühne.  町に着くと、彼はすぐにステージに向った。  

現在分詞

現在分詞は形容詞的に名詞を修飾します。その際は形容詞に準じて格変化します。 現在分詞の作り方は、

  • 不定詞+d
  • tuend  (< tun)
  • seiend (< sein)

用法

  1. 付加語的用法
  2. 副詞類的用法
  3. 目的語述語

1.  Eine untergehende Tonleiter ist von Violoncellos gespielt.  下降していく音階がチェロで奏される。 2.  Er hörte schweigend mein Spiel. 彼は黙って私の演奏を聴いた。

未来受動分詞

zu + 現在分詞」を付加語として用いるもの。「〜されうる、〜されるべき」という可能・必然性を意味する。 das anzuerkennende Spiel 評価されるべき演奏ein nicht zu vergessendes Konzert 忘れ得ぬ演奏会  

分離動詞

一つの動詞が「前綴り」と「本体」から成るものを「分離動詞」といいます。 なぜ分離かと言えば、前綴りだけが文の末尾に分かれて置かれるからです。こうした動詞の本来の姿・意味を調べるには再び合体させなければなりません。 分離動詞は複合語ですから動詞本体の意味を前綴りが修飾しています。

前綴り

前綴りの多くは、前置詞や副詞を起源としています。前置詞と副詞が同形の場合は、両方の意味で修飾されます。

ab-離れてabblasen(初見で演奏する)
abblenden(音を小さくする)
abdämpfen(音などを弱める)
abklingen(だんだん消えていく)
an-〜へ、きわへanähneln(似せる、同化させる)
andauern(持続する)
anbahnen(準備する)
anbieten(申し出る、提供する)
anblasen(吹いてみる)
aneignen(習得する)
anempfehlen(推薦する)
anerziehen(教え込む)
angewöhnen(習慣をつける)
anhören(じっと聴く)
anlauten(音が始まる)
anleiten(指導する)
anlernen(習得させる)
anschwellen(音などが強まる)
ansingen(歌ってみる)
anspielen(演奏してみる)
anstimmen(歌い出す、調律する)
antreiben(駆り立てる、急がせる)
auf-上にaufblasen(膨らませる、吹奏楽器を吹き鳴らす)
auffassen(解釈する)
aufführen(演奏する、興行する)
aufstreichen(演奏する)
aufklingen(鳴り始める)
auflösen(幹音に戻す、解決する)
aufmerken(注意して聞く)
aufnehmen(録音する)
aufspannen(弦などを張る)
aufspielen(演奏する)
aus-中から外へ ausatmen(息を吐く)
ausbilden(練習する、修行する)
ausdeuten(解釈する)
aushalten(保持する)
ausklingen(鳴りやむ)
ausläuten(鳴り終わる)
auslernen(すっかり習得する)
ausschwingen(鳴りやむ)
ausspielen(終わりまで演奏する)
bei-近くにbeibringen(わからせる)
beiordnen(添える)
ein-einblenden(次第にはっきりさせる)
einfallen(調子を合わせる、途中から入る)
einfühlen(感情移入する)
einleiten(前奏曲を奏する)
einlernen(習得させる)
einlullen(子守唄で寝かせる)
einrichten(編曲する)
einsingen(歌って寝かしつける)
einspielen(使いこなす)
einstimmen(途中から加わる、音程を合わせる)
einüben(練習する)
einweihen(手ほどきする)
her-こちらへherbeten(機械的に唱える)
herbitten(招く)
herbringen(持って来る)
herfallen(落ちて来る)herhören(耳を傾ける)
herkommen(こちらへ来る、由来する)
hernehmen(取って来る)
hersagen(暗唱する)
herzeigen(こちらに示す)
herab-上からこちらの下へherabblicken(見下ろす)
herabgehen(降りていく)
herabhängen(ぶら下がる)
herabkommen(降りてくる)
herabsehen(見下ろす、見下す)
heran-向こうからこちらへheranbilden(養成する)
herandrängen(押し寄せる)
heranführen(伝授する)
herankommen(近寄る、手に入れる)
heranziehen(引き寄せる、意見を聞く)
herauf-下からこちらの上へheraufbringen(運び上げる)
heraufdringen(高まってくる)
heraufziehen(引き上げる)
heraus-中からこちらの外へherausarbeiten(苦労して作り出す)
herausführen(感じ取る)
herausbringen(持ち出す、世に出す、上演する)
heraushalten(関与しない)
herausfinden(見つけ出す、見破る)
herausforden(挑む、挑発する)
herausgeben(返す、出版する)
herausheben(際立たせる、強調する)
herauskommen(現れ出る、脱する、出版される)
herausragen(突出する、傑出している)
herausrufen(アンコールで呼び出す)
herbei-こちらへherbeibringen(持ってくる)
herbeikommen(やって来る)
herbeirufen(呼び寄せる)
herbeiziehen(引き寄せる)
herein-外からこちらの中へhereinbitten(招き入れる)
hereinbringen(持ち込む)
hereinfallen(落ち込む)
hereingehen(入っていく)
hereinkommen(入って来る)
hereinlegen(しまう)
hereinsehen(のぞき込む)
hereinziehen(引きずり込む)
herüber-こちら側へherüberbringen(こちらへ持って来る)
herübergeben(こちらへ引き渡す)
herüberkommen(こちらへやって来る)
herum-ぐるりと回ってherumbekommen(口説き落とす、味方に引き入れる)
herumgehen(歩き回る、避ける)
herumkommen(一巡してくる、免れる)
herumsitzen(回りに座っている)
herumsprechen(喋ってまわる、広まる)
herumtanzen(回りで踊る)
herunter-こちらの下へherunterbringen(おろす、落とす
herunterdrücken(押し下げる)
heruntergehen(降りて来る)
hervor-前へ、外へ、表へhervorgehen(産み出す、引き起こす、提示する)
hervorheben(強調する、浮き立たせる)
hervorkommen(現れ出る、起こる)
hervorragen(抜きん出ている)
hervorrufen(カーテンコールする)
hervorstehen(突き出ている、際立っている)
hervortun(頭角を現す)
hin-向こうへhindenken(思いをはせる)
hindeuten(示唆する)
hingeben(捧げる)
hinhalten(遅らせる、提供する)
hinab-下へhinabbringen(降ろす
hinabgehen(下る)
hinabschauen(見下ろす)
hinauf-向こうの上へhinaufbringen(運び上げる)
hinauftreiben(追い上げる)
hinaus-向こうの外へhinausblicken(外を見る)
hinausbringen(持ち出す)
hinauslaufen(走り出る、終わる)
hinausreichen(以上に達する)
hinausschieben(押し出す、遅らせる)
hinauswachsen(大きくなりすぎる、まさる)
hinauswollen(外に出たがる、目指す)
hinausziehen(引き出す、延ばす)
hinein-向こうの中へhineinblicken(のぞき込む)
hineindenken(考え込む)
hineinfinden(精通する)
hineinschlittern(引きずり込まれる)
hineinsteigern(だんだん感情が高まってくる)
hineinziehen(引き入れる)、
hinüber-超えて向こうへhinübergehen(超えて行く)
hinüberkommen(向こうへ着く、超えて来る)
hinüberziehen(向こうへ引っ張る)
hinunter-向こうの下へhinunterbringen(下へ運びおろす)
hinunterführen(下へ導いていく)
hinunterhelfen(助けおろす)
hinuntersehen(見下ろす)
los-解けてlosbinden(解く)
losbringen(やっと離す)
losspringen(飛んで離れる)
loswinden(ほどく)
mit-共にmitarbeiten(共同研究する)
mitempfinden(共感する)
mitfreuen(一緒に楽しむ)
mitgehen(同行する、同調する)
mithören(一緒に聴く、盗聴する)
mitklingen(共鳴する)
mitmachen(参加する)
mitspielen(共演する)
mitwirken(協力する、共演する)
nach-後ろにnachahmen(真似る、見習う)
nachbilden(複製する)
nachdenken(反省する)
nachhallen(反響する)
nachsingen(あとについて歌う)
nachtönen(反響する)
über-超えてüberfüllen(入れ替える)
übergreifen(指板上の手を移動させる)
überschnappen(声がうわずる)
überspielen(演奏し過ぎる)
um-回りにumarbeiten(作り直す、修正する)
umdenken(考え直す)
umkehren(和音を転回する)
umlernen(習い直す)
umsehen(見回す)
umsetzen(移調する)
umstimmen(調子を変える)
umzeichnen(記号を付け変える)
unter-下にunterhalten(下から支えている)
untersetzen(下に置く)、
vor-前にvorbedenken(あらかじめよく考える)
vorbereiten(準備する、予習する)
vorbeten(先唱する)
vorlegen(呈示する)
vormachen(模範として示す)
vorsetzen(前に置く)
vorsingen(歌って聞かせる)
vorspielen(演奏して聞かせる)
weg-離れてwegblicken(目をそらす)
wegkommen(無くなる、克服する)
weglassen(行かせる、省略する)
wieder-再びwiederbringen(返す)
wiedereröffnen(再開する)
zu-向ってzueignen(捧げる)
zuhören(聞き入る)
zuleiten(引き込む、伝える)
zurück-後ろへzurückbleiben(達しない、遅れている)
zurückbringen(元に戻す、妨げる)
zurückkommen(戻る、立ち返る)
zurücknehmen(キャンセルする)
zusammen-ともにzusammenbekommen(まとめ上げる)
zusammenbringen(引き合わせる)
zusammenpassen(調和する)
zusammenstimmen(和声になる)

 分離動詞の過去分詞

分離動詞を過去分詞形にするには、前綴りと動詞本体の間に “ge-“をはさみ込みます。

  • 前綴り + ge + 動詞本体の変化形

zusammenbekommen  zusammengekommenzusammenbringen → zusammengebrachtzusammenpassen → zusammengepasstzusammenstimmen → zusammengestimmt

分離動詞のzu不定詞

分離動詞をzu不定詞にするには、前綴りと動詞本体の間に “zu-“をはさみ込みます。

  • 前綴り + zu + 動詞本体の不定詞

zusammenbekommen  zusammenzukommenzusammenbringen → zusammenzubringenzusammenpassen → zusammenzupassenzusammenstimmen → zusammenzustimmen

非人称動詞

「非人称のes」を主語とし、他の要素を必要としない動詞を「非人称動詞」と呼びます。

  • Es regnet. (雨が降っている)
  • Es schneit. (雪が降っている)

非人称動詞ではないが、非人称熟語になるものもあります。

  • Es gibt 〜  (〜がある)

非人称動詞でも心理的・身体的な状態を表す動詞があり、これらは人の3格・4格とともに用いられます。ただしこの”Es”は、文頭以外では省略されます。

  • Es reut mich. (私は後悔している) → Mich reut.
  • Es schwindelt mir. (私はめまいがする) → Mir schwindelt.

主語を後ろに移して、文頭では”Es”を代用する方法がありますが、この用法は非人称主語とは区別されます。

  • Es wartet  mein Freund auf mich.  (私の友人が私を待っている)
  • Es kamen viele Leute.   (たくさんの人が来た)
  • Es sind viele Spielleute auf der Bühne. (ステージの上にはたくさんの奏者がいる)

zu不定詞

不定詞に” zu “を伴うと「zu不定詞」、それを含む句は「zu不定句」となります。 ” zu “は不定詞の直前に置かれますが、助動詞や分離動詞では位置が変わります。

  • 単純不定詞; zu spielen
  • 完了不定詞; gespielt zu haben
  • 受動不定詞; gespielt zu werden
  • 分離動詞 ;vorzuspielen

zu不定詞の意味・用法

  1. 主語
  2. 述語
  3. 目的語
  4. 付加語
  5. 副詞類

1. Klavier zu spielen ist schwer. ピアノを弾くのは難しい。 2. Mein Ziel war, Pianist zu werden. 私の目標はピアニストになることだった。 3. Wir beschließen, den Dirigent  zu mieten. 我々はその指揮者を雇うことを決める。 4. Ich habe die Absicht, den Pianist zu unterstützen. 私はそのピアニストを援助するつもりだ。 5. Ich mußte hart arbeiten, um mein Ziel zu erreichen. 目標を達成するためには、粘りづよく取り組まねばならなかった。 Ich bestand die Probe , ohne zu anbahnen. 私は準備もせずにオーディションに通った。 Er legte sich aufs Bett, statt zu ausgehen. 彼は出かける代わりにベットに横になった。

zu不定句+sein

受動態に対応する表現形式で話法的意味合いを伴う。【可能性】Das Vorspiel ist leicht zu spielen. この前奏曲は簡単に弾ける。【必然性】Ein Notenschlüssel ist erst vorzulegen. 音部記号は最初に呈示しなければならない。

zu不定句+haben

「〜せねばならない」という必然性を意味し、普通は他人からの指図に基づく義務を表わす。 Wir hatten unnötige Instrumente zu verkaufen. 私たちは不要な楽器を売り払わなければならなかった。