ドイツ語を読むための「名詞」の知識
名詞の性
ドイツ語の名詞は必ず次の3つの性のどれかに属します。この分類はあくまでも文法的な区別であって、自然の性に則っているわけではありません。
- 男性名詞 〔定冠詞は “der“〕
- 女性名詞 〔定冠詞は “die” 〕
- 中性名詞 〔定冠詞は “das“〕
男性名詞
人の「自然の性」が男性のもの(父親、叔父、祖父など)。 身分や職業・社会関係の総称的な用法。
女性名詞
人の「自然の性」が女性のもの(母親、叔母、祖母など)。 女性の身分や職業・社会関係
- 男性名詞に “-in” を付加して作られる(der Arzt → die Ärztin)
- 男性名詞の語尾を “-frau” に変える*(Kameramann→Kamerafrau)
中性名詞
総称的な意味の語、集合的な意味の語(”das Huhn”(鶏という種)など家畜に多い)。 “-chen” の付いた派生語(”das Mädchen”(少女)、”das Häuschen”(小さな家))。 “-lein” の付いた派生語(童謡や民話に頻出する)。 他品詞が名詞化されたもの
- 不定詞:”denken”(思惟する) → “das Denken”(思惟すること)
- 形容詞:”schön”(美しい) → “das Schön” (美しいこと)
- 前置詞:”für” (〜のために) → “das Für” (賛成)
複数形
名詞の複数形には5つのパターンがあります。
- 無語尾型:単数形と複数形が同じ。ただし、母音がウムラウトになるケースもあり。
- E型:単数形に “ -e ” が付く。ただし、母音がウムラウトになるケースもあり。
- ER型:単数形に ” -er ” が付く。”a”,”o”,”u”,”au”の母音は必ずウムラウトになる。
- N(EN)型:単数形に ” -n “または” -en ” が付く。母音はウムラウトにはならない。
- S型:単数形に “ -s ” が付く。母音はウムラウトにはならない。
複数形にならない名詞
複数形になる名詞は「数えられる名詞」に限られます。したがって以下の名詞は複数形をもちません。
- 固有名詞
- 集合名詞
- 物質名詞
男性弱変化名詞
男性名詞のうちで、単数の2・3・4格及び複数の全ての格で名詞の後ろに ” -en ” または ” -n ” の格語尾をもつものがあります。これは「男性弱変化名詞」と呼ばれます。 辞書で、-en/-en 、-n/-n と表示されている名詞がこれに当たります。 たとえば ” Pianist ” は「ピアニスト」を意味する男性名詞です。
単数 | 複数 | |
1格 | Pianist | Pianisten |
2格 | Pianisten | Pianisten |
3格 | Pianisten | Pianisten |
4格 | Pianisten | Pianisten |