ドイツ語を読むための「助動詞」の知識

ドイツ語の枠構造

ドイツ語の定形文では、「助動詞」と「本動詞」がセットで用いられる場合に次のような枠構造を形成します。(◇は動詞以外の要素を表わしています)

  • ◇ + 助動詞 + ◇ + 本動詞

本動詞は助動詞の種類によってその姿が変わります。

  1. 話法の助動詞:◇ + 助動詞 + ◇ + 不定詞
  2. 未来の助動詞:◇ + 助動詞 + ◇ + 不定詞
  3. 完了の助動詞:◇ + 助動詞 + ◇ + 過去分詞
  4. 受動の助動詞:◇ + 助動詞 + ◇ + 過去分詞

話法の助動詞

dürfenkönnenmöchtenmüssen
単数darfkannmagmuß
複数dürfenkönnenmögenmüssen

sollwollenmögen
単数darfkannmag
複数dürfenkönnenmögen

 1. dürfen

  • 許可;〜してよい、〜してもかまわない
  • 理由;当然〜してよい、〜するのに十分な理由がある
  • 禁止(否定詞と共に);〜してはいけない
  • (nur や bloß と);〜するだけでよい

2. können

  • 能力;〜できる、〜する力がある
  • 理解;できる、分かる
  • 許可;〜してもよい、〜してもかまわない
  • 可能;〜かもしれない、〜の可能性がある
  • 推測;〜らしい、〜かもしれない
  • (否定詞と共に);〜するのは良くない

3. mögen

  • 可能;〜かもしれない
  • 推量;〜かもしれない
  • 疑い;〜だろうか
  • 懸念;〜だろうか
  • 許容;(したいのなら)〜すればいい
  • 譲歩;たとえ〜であろうとも

4. müssen

  • 強制;〜しなければならない、どうしても〜する必要がある
  • 必然;必ず〜する、〜に決まっている
  • 確信;〜に違いない、きっと〜だ
  • 想定外;まさか〜しようとは、よりにもよって〜とは
  • 疑念;〜だろうか 〈mögenの代わり〉
  • 義務;〜するべきだ 〈sollenの代わり〉
  • (否定詞と共に);〜するには及ばない、〜しないほうがよい

5. sollen

  • 義務(宗教・道徳・法律上の);〜するべきである、〜するのが当然だ
  • 意志(話し手の);〜しよう
  • 命令;〜するべきだ
  • 要求;〜せねばならない
  • 運命;〜する運命だ、〜するはめになる
  • 予定;〜することになっている
  • 伝聞;〜ということだ、〜という噂だ、〜だそうだ
  • 意図・意味(主に疑問文で);〜のつもりなのか、〜だとでも思っているのか
  • 認容;〜ということにしておこう
  • 無関心;勝手に〜すればいい
  • 話し相手の意志を聞く;〜しましょうか?
  • 未来;〜だろう、〜するだろう
  • 禁止(nichtと共に);〜してはいけない

6. wollen

  • 意志;〜したい、〜するつもりだ
  • 必要;〜する必要がある
  • 要求(Wirと共に);〜しようではありませんか
  • 主張;〜と言い張っている、〜ということにしておこう
  • 緊迫;まさに〜しようとしている、〜しかかっている
  • 丁寧な依頼;〜してくださいませんか
  • (nichtと共に);〜しようとしない

 7. möchten

  • 意志;〜するつもりだ
  • 願望;〜したい
  • 丁寧な命令;〜してほしい
  • 推測;〜でしょう、〜かもしれない

未来の助動詞

未来の助動詞は「werden」です。その活用は、

ich werdewir werden
er/sie/es wirdSie werden

未来形とはいっても、時制的な未来を表わすために使われることは稀で、むしろ以下のような用法が主になります。

  • 推量;〜なのだろう
  • 命令(2人称で);〜しろ、〜しなさい
  • 予告・宣告;〜します、〜するぞ

Er wird den Preis der Wettbewerb gewinnen.     彼はそのコンクールで入賞するだろう。 Sie werden morgen von Partituren der Etüde einprägen. 明日この練習曲を暗譜してきなさい。 Ich werde immer diese Instrument kaufen. この楽器を絶対手に入れてやる。

 完了の助動詞

現在完了・過去完了を作る助動詞には「haben」と「sein 」の2つが使われます。どちらを使うかは辞書を引けば確認できます。 ◇ + haben + ◇ + 過去分詞◇ + sein     + ◇ + 過去分詞

  • haben : 動作の過程を表わす(〜した)《他動詞》、《動作の継続を表わす自動詞》
  • sein     : 動作の推移を表わす(〜するに至った)《何らかの変化を伴う動作の自動詞》

話法の助動詞の完了形

話法の助動詞を使っての完了形には[過去分詞」を使わずに「不定詞」を用います。 ◇ + haben + ◇ + 不定詞 + 助動詞の不定詞Sie hat Klavier spielen wollen. 彼女はピアノを弾くつもりだった。  

受動文の助動詞

受動文には、助動詞「werden」が使われます。 ◇ + werden + ◇ + 過去分詞 受動文での動作主を表わす前置詞は、その内容に応じて使い分けられます。

  • von        :  直接的な動作主(人や影響力の大きな事象)、具体的な手段
  • durch  :  手段
  • mit        :  道具

能動文→受動文

  • 3格・4格支配の動詞では、「4格の目的語」のみが受動文の主語に(1格)になれる。
  • 3格支配の動詞では、「非人称のes」が主語になるが、実際の動作を受けるのは「3格目的語」。
  • 前置詩句支配の動詞でも、「非人称のes」が主語になる。対応する能動文の主語はたいてい”man“。

Es wurde mir  geholfen. 私は助けられた。 不定詞”helfen”は3格支配の動詞ですので、受動文でも受け身の主語である「私」を1格の”Ich”で使うことはできません。あくまでも3格のままで、非人称の”Es”が主語となります。ただし他の要素が文頭にくると、この”es”は消えます。 

Mir wurde geholfen.Es wird oft an ihn als Meister über der Fuge gedacht. 彼はフーガの大家としてよく思い浮かべられる。 能動文にすると、 Man denkt oft an ihn als Meister über der Fuge.

状態受動文

  • 通常の受動文(〜される)は助動詞”werden”を使って表わされますが、状態受動文(〜されている)を表わすには“sein”を用います。

Der Dirigent wird angenommen. その指揮者は採用される。 Der Dirigent ist angenommen.  その指揮者は採用されている。

bekommen受動

人の3格を受動文の主語にすることはできませんが、授与動詞に関しては” bekommen “を使って受動文を作ることができます。

  • 過去分詞 + bekommen / kriegen / erhalten

Er hat eine Klarinette geschenkt bekommen. 彼はクラリネットを贈られた。 

Er hat das Instrument geborgt bekommen. 彼はその楽器を貸してもらった。

受動文の現在完了

受動文で現在完了を作るには、完了の助動詞として「sein」を使うと同時に、受動の助動詞「werden」を過去分詞にしますが、その過去分詞は「geworden」ではなくて「worden」を用います。 上例を過去形で表わすと、 Der Dirigent wurde angenommen. その指揮者は採用された。 ですが、現在完了で表わすと、 Der Dirigent ist angenommen worden. その指揮者は採用された。 となります。通常の過去分詞を使うと単なる完了になってしまいます。 Der Dirigent ist Generaldirektor geworden. その指揮者は総監督になった。

その他の受動的表現

  1. sein + zu 不定句;被動作者の視点による表現形式で、可能性・必然性を伴う。
  2. sich lassen + 他動詞;被動作者の視点による表現形式で、必然性の意味を含む。
  3. 意味上の目的語が主語となる他動詞の再帰表現

1.  Es sind keine Spieler an der Bühne zu sehen. ステージには一人の奏者も見えない。

2.  Das Instrument läßt sich nicht spielen. この楽器は弾かれていない。

3.  Dieser CD verkauft sich gut. このCDはよく売れる。