ドイツ語を読むための冠詞の知識

定冠詞と不定冠詞

欧米の言語に共通の品詞として「定冠詞」と「不定冠詞」があります。 たとえば英語の”the”,”a/an”がそうですが、ドイツ語の場合は性・数が絡んできますので、それぞれに対応した形があります。

定冠詞

単数複数
男性女性中性
1格derdiedasdie
2格desderdesder
3格demderdemden
4格dendiedasdie
  • すでに話題になっている人や事物に付けられます。
  • 不定冠詞と違って、複数にも冠詞が付きます。ただし、「性」による使い分けは行われません。
  •  「格」によっては、名詞に語尾がつくものがあります。
単数複数
男性女性中性
1格der 〜die 〜das 〜die 〜
2格des 〜(e)sder 〜des 〜(e)sder 〜
3格dem 〜der 〜dem 〜den 〜n
4格den 〜die 〜das 〜die 〜
  •  たとえば男性名詞 ” der Ton” (音)は2格の時には “des Tons” または “des Tones” となります。
  • 中性名詞も同様で、” das Instrument ” (楽器)も2格の時には ” des Instruments ” または ” des Instrumentes “になります。
  • 一方、女性名詞はどの格でも語尾はつきません。
  • 複数形では3格で “-n ” が付けられます。たとえば “die Töne” は ” den Tönen ” 、” die Instrumenten ” などのようになります。
  • これらの変化はたいていの辞書には明記されています。

 solch-

単数複数
男性女性中性
1格solchersolchesolchessolche
2格solchessolchersolchessolcher
3格solchemsolchersolchemsolchen
4格solchensolche〜solchessolche
  •  類似性を示す
  • 抽象名詞と結合して、程度を強調する

all-

単数複数
男性女性中性
1格alleralleallesalle
2格alles (allen)alleralles (allen)aller
3格allemallerallemallen
4格allenalleallesalle
  • 結合する名詞の全てが該当することを表わす。
  • 普通名詞は複数形にして結合される。
  • 名詞を省略することがある。
  • 物質名詞、抽象名詞は単数形で用いられる。

jed-

男性女性女性
1格jederjedejedes
2格jedesjederjedes
3格jedemjederjedem
4格jedenjedejedes
  • 「各々の」「それぞれの」を意味する。
  • 序数詞とともに用いて「〜にひとつの」を表わす
  • 複数形はない

manch-

単数複数
男性女性中性
1格manchermanchemanchesmanche
2格manchesmanchermanchesmancher
3格manchemmanchermanchemmanchen
4格manchenmanchemanchesmanche
  • 単数形と共に「いくつもの」「色んな」「何人もの」を表わす
  • 複数形と共に「一部の」「何人かの」「いくつかの」を表わす

 定冠詞類《指示冠詞》

dies-

単数複数
男性女性中性
1格dieserdiesediesesdiese
2格diesesdieserdiesesdieser
3格diesemdieserdiesemdiesen
4格diesendiesediesesdiese
  • 空間的に近くにあるものを指す
  • 文脈で触れられたことを指す
  • 時間的に近い時点を指す
  • 「こちらの、後者の」(jenerと対比させて)
  • 名詞を省略して用いる場合がある(格変化はする)

jen-

単数複数
男性女性中性
1格jenerjenejenesjene
2格jenesjenerjenesjener
3格jenemjenerjenemjenen
4格jenenjenejenesjene
  •  空間的に遠くにあるものを指す
  • 時間的に遠い時点を指す
  • すでに触れたこと、周知の事物を指す
  • 「あちらの、前者の」(dieserと対比させて)
  • 関係文の先行詞に付加されることが多い
  • 名詞を省略して用いることがある

不定冠詞

男性女性女性
1格eineineein
2格eineseinereines
3格einemeinereinem
4格eineneineein
  • 今まで出てこなかった人や物事を会話に新たに導入するのが「不定冠詞」の役割です。それが主語や述語として導入されれば「1格」の不定冠詞が付けられますし、動詞の目的語や前置詞の目的語として導入されれば、その用法に応じた「格」が用いられるのです。
  • 不定冠詞の場合も定冠詞と同様に「格」によって語尾が変わるものがあります。較べてみれば一目瞭然ですが、定冠詞とまったく同形なのです。

不定冠詞《否定》

kein

単数複数
男性女性中性
1格keinkeinekeinkeine
2格keineskeinerkeineskeiner
3格keinemkeinerkeinemkeinen
4格keinenkeinekeinkeine
  •  不定冠詞や冠詞無しの名詞を否定する。「1つもない、少しもない」
  • 付加語として形容詞を否定する
  • 全文否定することもある
  • “kein”は、辞書によっては「不定代名詞」に分類される。
  • ドイツ語には、英語の”not”に相当する語がありません。ですから否定の場合はこの「否定冠詞」を名詞に添えて表現するのです。喩えば「私はピアノを弾かない」でしたら、英語では2通りの表現方法があります。” I don’t play piano. / I play no piano”.   一方ドイツ語では、”Ich spiele kein Klavier”.   英語では “no” を使うと「ピアノなんて弾きません!」と強い否定を意味しますが、ドイツ語では単に「〜ではありません」という普通の否定を表わします。

疑問冠詞

welch-

単数複数
男性女性中性
1格welcherwelchewelcheswelche
2格welcheswelcherwelcheswelcher
3格welchemwelcherwelchemwelchen
4格welchenwelchewelcheswelche
  • 既知の対象物の中から特定のものを選び出す場合に用いられる
  • 名詞が2格語尾 “-es “, ” s ” を持つ場合は、welchen になる

所有冠詞

mein-

単数複数
男性女性中性
1格meinmeinemeinmeine
2格meinesmeinermeinesmeiner
3格meinemmeinermeinemmeinen
4格meinenmeinemeinsmeine

sein-

単数複数
男性女性中性
1格seinseineseinseine
2格seinesseinerseinesseiner
3格seinemseinerseinemseinen
4格seinenseineseinseine

ihr-

単数複数
男性女性中性
1格ihrihreihrihre
2格ihresihrerihresihrer
3格ihremihrerihremihren
4格ihrenihreihrihre

 unser-

単数複数
男性女性中性
1格unserunsereunserunsere
2格unseresunsererunseresunserer
3格unseremunsererunseremunseren
4格unserenunsereunserunsere

所有冠詞は人称代名詞に対応しています。

  • ich → mein
  • er   → sein
  • sie     → ihr
  • es   → sein
  • wir    → unser

疑問冠詞

was für ein-

単数複数
男性女性中性
1格was für einwas für einewas für einwas für 
2格was für eineswas für einerwas für eineswas für
3格was für einemwas für einerwas für einemwas für 
4格was für einenwas für einewas für einwas für 
  •  抽象名詞、物質名詞、複数形の名詞の前では “ein” は省かれる。
  • 対象物の種類や属性を尋ねる時に用いられる。
  • was と für が分離して置かれることもある。