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○/△という表記のコードがあります。これは一般に「スラッシュ・コード」や「分数コード」と呼ばれるものです。○の部分にはコードネームが表記されますが、△には単音の指示の場合と、コードネームの場合があります。
実はこのいくつかのパターンについては、人によって呼び方が異なります。ここでは、分母△に三全音を含む和音が入り、分子○には三和音が入るものを「アッパー・ストラクチャー・トライアド」と定義しています。また分母△が通常の和音で分母○も和音の場合を「分数コード」、分母△が単音で分子○が和音の場合を「スラッシュ・コード」と定義しています。
また表記法としては、アッパ・ストラクチャー・トライアドと分数コードに関してはスラッシュ(/)ではなく水平線(ー)を用いています。ただし説明文ではスラッシュで代用させていただきます。
アッパー・ストラクチャー・トライアド(UST)の機能
分母に三全音を含むということは、この類のコードはドミナント・セブンス系であり、分子に乗っかる和音がテンション系になるということです。
分母(キーボードでの左手)で弾かれる音には何種類かあります。
基本的には、ルート+3rd+7thの3音が弾かれます。ベース奏者がいる場合は、ルート音は省略できます。またギター演奏ではルート+7th の2音だけになる事も多々あります。極端な場合はルート音のみのこともありますが、これは厳密な意味でのアッパー・ストラクチャー・トライアドにはなりません。USTというと、上下段のコードが異なっているので、一見複雑に感じるかもしれませんが、奏者にとっては、テンションを含んだコード表記よりも把握しやすいという利点があります。
USTで避けるべき音は11th(P4)ですが、○sus4として使用するのであれば問題ありません。もちろんその時は分母の和音から3rdは省きます。また、分子の和音に3rdが含まれている時も、分母から省いて重複を防ぎます。
USTに含まれるテンション・ノート
分子がメジャー・トライアドの場合
UST | 分母のルートから分子のルートまでの距離 | 含まれるテンション |
VI / V7 | 長2度 | 9th, #11th, 13th |
♭VII / V7 | 短3度 | #9th |
♭II / V7 | 減5度 | ♭9th, #11th |
♭III / V7 | 短6度 | #9th, ♭13th |
III / V7 | 長6度 | ♭9th, 13th |
分子がマイナー・トライアドの場合
UST | 分母のルートから分子のルートまでの距離 | 含まれるテンション |
Vm / V7 | 増1度 | #9th |
♭VIm / V7 | 短2度 | ♭9th, ♭13th |
♭VIIm / V7 | 短3度 | #9th, #11th |
♭IIm / V7 | 減5度 | ♭9th, #11th, 13th |
IIm / V7 | 完全5度 | 9th |
IIIm / V7 | 長6度 | 13th |