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非和声音とは文字通り、和声音ではない音を指す用語です。あるコードが使われた時に、その構成音以外の音はすべて非和声音となります。テンションも非和声音に含まれます。
和声音と非和声音が同時に鳴れば、当然、不協和音が生じるのですが、そのこと自体は許容範囲に収まります。ただし、非和声音の使い方によっては、非常な違和感を感じさせ、コードの機能も曖昧になってしまいます。
そのため、非和声音の使い方にはルールが定められています。それに従うことで、コードの主体性も保たれるわけです。非和声音は、使い方に従って次のように分類されます。
- 倚音(いおん)
- 経過音
- 刺繍音
- 逸音
- 先取音
- 掛留音
倚音 Appoggiatura
何の前触れもなく、いきなり現れる非和声音で、必ず2度進行して和声音に解決されます。基本的には、強拍または拍の強部に置かれます。(イと略記)
経過音 Passing Tone
2つの和声音を音階的(順次進行)でつなぐ非和声音で、弱拍または拍の弱部でもちいられます。(カと略記)
刺繍音 Auxiliary Tone / Neighbouring Tone
和声音から上か下に2度進行し、再び和声音に戻る非和声音を刺繍音と呼びます。弱拍または拍の弱部でもちいられます。(シと略記)
逸音 Escaping Tone / Escapee
刺繍音に続く和声音が省かれた状態の非和声音。逸音のあとの音は必ず3度以上の跳躍をするか、休符になります。逸音も弱拍か拍の弱部で使われます。(ツと略記)
先取音 Anticipation
逸音が次の和音の中で、和声音としてもう一度鳴らされる音は先取音と呼ばれます。先取音と和声音はタイで繋がれる場合もあります。(セと略記)
掛留音 Suspended Note
前の和音の和声音がそのまま延長されて、そのまま倚音となる非和声音。倚音の仲間であるから、必ず2度進行して、和声音に解決されねばなりません。(ケと略記)