ハーモニクス

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ハーモニクスとは

弦楽器では「ハーモニクス奏法」というものがあります。特にヴァイオリン属では「フラジョレット」とも呼ばれている奏法です。フルートでもハーモニクス奏法というのがあるそうです。私はそちら方面には詳しくないので、以下のリンクを参考にしてください。ここではギターでのハーモニクス奏法を解説していきます。

https://ja.wikipedia.org/wiki/フルート

弦楽器では当然、弦を振動させて音を出すわけですが、この弦振動から人工的に基音を消し去ることによって、倍音のみが鳴る、というのがハーモニクス奏法の原理です。

ギターでのハーモニクス奏法には2種類あります。

  • 自然ハーモニクス、natural harmonics, Natürliche Harmonietöne, natürliche Flageolettöne, armónicos simples, harmoniere Naturelle sur le Corde á vide
  • 人工ハーモニクス、artificial harmonics, right hand harmonics, Künstliche Flageoletspiel, Künstliche Harmonietöne, armónicos a la diestra, Harmonie a double doubter

自然ハーモニクスの弾き方

基本的には、左手指を該当のフレット上に軽く触れながら、普通に弾弦します。コツとしては、なるべくブリッジ寄りをピッキングすること、クラシックやアコギでは爪をうまく使うこと、そして左指のリリースのタイミングを覚えることです。

上の図は、各弦の何フレットでハーモニクスを出すと何の音が鳴るかを示したものです。ギターは本来、高音部譜表の音よりも1オクターブ低いので、ここに示した音がハーモニクスの実音になります。この図は、小倉俊氏の『ギター辞典 2』の図を参考にさせていただきました。

実は各弦の2フレットでもハーモニクスは出せるのですが、ちょっと位置がずれただけで別の音高のハーモニクス音が出てしまうため、実用には向きません。それから、3フレットでのハーモニクスも不安定なので注意が必要です。やはりちょっとズレると違う音が出ますので、触れる位置を身体に覚え込ませましょう。

また、この図からは外れますが、「19フレット」でにハーモニクスもよく使われます。19フレットで出るハーモニクスは5フレットで出るハーモニクスと同音です。

自然ハーモニクスは、基本的には、両手を使いますが、時には片手で出さねばならないこともあります。主には、右手の「人差し指+親指の弾弦」もしくは「人差し指+薬指の弾弦」で対応しますが、左手の「小指+人差し指の弾弦」でも可能です。

自然ハーモニクスの記譜

基本的にハーモニクスの音は、菱形符頭で示されるか、普通の音符に略語を付しての指示になります。

ポンセの一節。自然ハーモニクスには「+」記号を使っています。注意が必要なのは、ここに記されている音はハーモニクスの実音ではないということです。ギターの楽譜は、実音より1オクターブ高く記譜される監修になっていますので、ここに記されている音は、普通に押さえると出る音です。1小節目の3音のコードと下声部の1音はどれも7フレットを押さえて出る音であり、それを「Arm.」指示でハーモニックスせよという指示になります。2小節目の「D音」は④弦の開放弦の音であり、それを12フレットでハーモニクス奏法せよという指示だというわけです。

セゴビア編曲のバッハのプレリュードの開始部。上例同様、この「A音」は⑤弦開放弦の音ですから、その弦を12フレットでハーモニクスを出すという指示になります。

これはアンドリュー・ヨークの『Muir Woods』Lullabyの一節です。この楽譜に記された音は「実音」になります。例えば、最初の例の④弦7フレットのハーモニクスが、ヨークの楽譜ですと1オクターブ高くなっていることがお分かりになるでしょう(1小節2拍3音目)。

これもアンドリュー・ヨークの作品で『Lullaby』の一節です。伴奏音形の音高を保つためにハーモニクスを使っている例です。④弦7フレットを2指で保持しているため、ハーモニクスは右手のみで奏さねばなりません。

これはバリオス・マンゴレの『ワルツ第3番』の一節です。彼の場合は、弾くべき弦に「arm.」を加える指示方法をとっています。

これはプジョールの編曲した有名な「盗賊の歌」の一節です。彼もやはり、使う弦にフレット番号を付す方法をとっています。

これは竹内永和氏が編曲した中島みゆきの『時代』の最後の部分です。ここでは押さえると出る音に「arm.」のフレットを指示しています。

これは冨山詩曜氏が編曲したビートルズの『フール・オン・ザ・ヒル』の出しの部分です。一見複雑そうに見えますが、人差し指を④弦に、中指を⑤弦に、小指を①弦と③弦に配置します。こうした複数の同時ハーモニクスでは全ての音を明瞭に出すに注意深い練習が必要でしょう。

これはソルの『練習曲、作品60ー25』の一節です。自然ハーモニクスだけで美しい旋律が形成されています。8−10音は同弦上でフレットを変えて綺麗な長3和音の響きを出す必要があります。

これは武満徹氏が編曲したビートルズの『ミッシェル』の冒頭部分です。ハーモニクス自体は②③弦12フレットのごくありふれたものですが、下声部の半音階の動きは④弦で弾かねばならないため、指が近すぎるという難しさがあります。

ヴィラ=ロボスの練習曲第1番の最後の部分です。オリジナルはハーモニクスの部分が白抜きの音符なのですが、当方のソフトが対応していないため、黒塗りになっています。

ヴィラ=ロボスは弦番号の代わりに開放弦の音名を記号にして指示しています。記している音符は、ハーモニクスの実音です。2段目の楽譜は、弦番号に書き換えたものです。3段目の楽譜は「MAX ESCHIG」エディションの巻末注釈ページに掲載されている、「タレガ式」記譜法に書き換えたものです。

人工ハーモニクスとは

人工ハーモニクスは、そのほとんどが1オクターブ上の倍音を出す奏法として使われます。原理的には「5度」や「2オクターブ」も可能なのですが、ギターでは概ね1オクターブのものに限定されています。

奏法的には、左指で押弦したフレットの、ちょうど1オクターブ上のフレットに右手指を当てながら別の指で弾弦するという単純なものです。しかし、慣れるまでは、両手指の位置を確認しなければならないため充分な練習が必要となるでしょう。理想的には、左手の押弦は見なくてもできるくらいになれば、右手指の動作に集中できるはずです。

人工ハーモニクスが難しいのは、そこに伴奏が加わったり、メロディーが加わったりするからです。

これはポンセの例ですが、左手の押弦はまだ比較的単純なほうです。右手は⑥弦を親指にセットすると同時に、人差し指を②弦の14フレットに軽く触れ、薬指をすぐ弾弦できるようになる弦上にセットしておきます。

有名なプジョール編曲の「アメリアの遺言」のハーモニクス部分です。メロディーは全て人工ハーモニクスで弾きながら、ベースを親指で、中声部の2音は親指と人差し指(もしくは中指)で弾きます。

アルベニスの『朱色の塔』のアレンジは色々ありますが、この楽譜では中間で人工ハーモニクスを用いています。この場合は、ハーモニクス以外を全て親指で弾くのが自然でしょう。

トローバのソナチネの2楽章の終止部分です。⑤弦から人工ハーモニクスを開始します。次の小節では自然ハーモニクスと人工ハーモニクスを同時に行わなければなりません。しかも、人口ハーモニクスは「D音」ですので、人差し指のポジションは響孔上になります。左手は4指で10フレットを押さえながら、人差し指で②③弦の7フレットで自然ハーモニクスを行います。②③の弾弦は親指と中指を使います。

C.Barbosa-Lima氏編曲のドビュッシーの『月の光』です。氏の編曲はハーモニクスを多用した難易度の高いものが多いのですが、チャレンジする価値はあります。②③弦を親指と中指で弾きながら、①弦で人差し指と薬指の人工ハーモニークスするのですが、途中から③④弦に移行せねばならないので難易度が上がっています。

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