モテ・ピアノする?

宴会芸のピアノに必要なこととは

ピアノはたいていの人が、弾けるようになりたいと言います。
けれども、この「弾ける」という状態は人によって千差万別です。
「これからずっとピアノを弾く生活を続けていきたい」「必要になったときにちょっと伴奏が弾ければいい」「パソコンの打ち込みをリアルタイムでしたい」「ちょっとメロディを確認できるレベルでかまわない」「コンパで目立ちたい」「バーで1曲弾いてもてたい」等など。
大方の人は、「弾ければいいけど、上手くなくてもいいし、そんなに練習もしたくはない」というのが本音ではないでしょうか。
私はそれでもいいと思います。それで生きることが少しでも豊かになるのなら、結構なことではありませんか。
たとえばマジックのような隠し芸的なピアノ、異性の気を惹くためのピアノ、バーで格好良く振舞うためのピアノがあってもぜんぜんオーケーですよね。
けれどもいざ、そういうピアノを始めたいと思ってもそんな事に対応してくれるところはまず見つかりません!?
ピアノの先生は真面目(?)です。あなたは指の基礎訓練をこなさなければ、曲など弾かせてもらえません。そしてそれまでには何ヶ月もの辛抱が必要です。
レッスンとレッスンの間には、自宅できちんと課題を練習しておかないと怒られます(あなたはお客さんではなく、生徒ですから)。やっと弾ける曲も、たいていはつまらないアレンジです。もしバーで弾いたらドッ白け間違いないでしょう。
なんせ音楽の専門家という人種は、音楽とは一生懸命練習すべきもの、と教え込まれて育ってきましたし、頑なにそういうものだと信じ込んでいるのです。そして周りの人間も全て同じように考えるべきだと思っています。
まさかモテるために、ピアノを習いにくる人がいるなどとは、想像すらしないのではないでしょうか。まあそんな訳で、おそらく習う側の人間も薄々はそういった特殊な世界のことを知っているので、我慢して習うか、はなから諦めてしまうかのどちらかなのです。
残念ながら、書店で探しても、そういった要求に応えてくれる入門書は売っていません。必ず、前提として音符が読めることが求められていて、そのための解説を読まねばなりません。
それから、スケール(音階)や重音(複数の音を同時に鳴らす)やアルペッジョ(和音をバラバラに弾く)などいろいろなテクニックを練習させられます。その技術がないと簡単な曲も弾けませんよ、というわけです。
さあ、あなたは一芸のためにどこまで頑張れるでしょうか?
モテるためならと、歯を食いしばって練習しますか?

そんなあなたに朗報です!

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いま時代が求めているもの

アレンジャーは視点を変えよ!

私が小学生の頃、ピアノ・ブームが起こりました。東京オリンピックが開催され、日本経済が急激に成長をはじめた頃でした。
しかし当時、ピアノはまだまだ高価で、普通のサラリーマン家庭が気軽に買える代物ではありませんでした。
ピアノ教室に通っていた子供たちの大半は、家ではオルガンで練習するパターンが多かったのではないでしょうか。
日本でのピアノ・ブームというものは、西洋音楽の普及に伴ったものというよりも、子供の習い事におけるランク・アップといった感が強かったように思われます。
簡単に言ってしまえば、「教養としての音楽」を子供に身につけさせるのが、親の務めのような風潮がありました。
今の時代に、「クラシック音楽は教養」などといったら一笑に付されそうですが、あの頃は多くの人がそう信じていました。

あの頃と現在の音楽事情・音楽環境には雲泥の差があります。特に、電子技術・デジタル技術の進歩・発達により、音楽の録音・再生が容易になりました。
そして、アコースティック楽器に劣らない、優れた性能のデジタル楽器が普及するようになりました。
これらのデジタル楽器は従来の演奏の概念を大きく変えつつあります。楽器を弾くことは、今までであれば、専門的な訓練や経験を必要としていましたが、そういった壁が崩されつつあるのです。
しかし、一般に出回っている楽譜を見るとどうでしょうか。たとえばピアノの楽譜。オリジナルのクラシック曲は仕方がないとしても、ポピュラーやジャズ系のピアノ・アレンジを見ても、従来の枠から抜け出せていないように思われるのです。
つまりどういうことかと言うと、今の技術をもってすれば、指を早く動かすとか、たくさんの音をいっぺんに鳴らすことをしなくても、楽器にそれを代行させることができる訳です。そういったものを利用して、初心者やハンデのある人でも演奏を楽しんだり、人に聞かせることができる時代なのです。
残念ながら、それに対応したアレンジはありません。どの楽譜も、人間の能力に依存する、つまり訓練をしなければ弾けないようになっています。もちろん一概にそれが悪いと言うわけではありません。けれども、そういった世界とは無縁の人たちが、この技術進歩の恩恵を受けられるにもかかわらず、実際には疎外された状況だということを専門家は認識すべきなのです。
そうでなければ、このデジタル楽器の発達にいったいどんな意義があるというのでしょう。もちろん、音量のコントロールにより演奏環境の制約がなくなった、発音の容易さによって運動能力を問わなくなったりという恩恵もあります。しかし、たとえばDTM(デスクトップ・ミュージック)の制作において、リアルタイム入力という制約が外されたことにより、音楽制作の間口が広げられました。
演奏においても、そういった直接の恩恵が得られるよう、アレンジャーも努力すべきなのです。または、そういうアレンジャーが活躍できる場が提供されるべきです。もちろん機種依存の部分は大きなネックになるかもしれませんが、どこからか崩していかない限り、初心者は伝統と進歩の板ばさみとなってしまうでしょう。。
初心者というものは、提供されたものを尊守しなければいけないという固定観念を持っています。素材として自由に加工する技量など持っていません。だからこそ、本来音楽がもつ自由性、表現の幅を容易な形で提供してあげる必要があると思われるのです。


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