コード・スケール〜セカンダリー・ドミナント(1)

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メジャー・キーにおけるセカンダリー・ドミナント

メジャー・キーでは、ダイアトニック・コードが6種類ありますが(II~VII)、7度上に形成されるコードは減三和音なので、一時的な主和音とはなり得ません。したがって、IIm, IIIm, IV, V, VImの三和音及び四和音が一時的な主和音となります。この5種類の和音が主和音となるキーは、本来のキーの平行調、属調とその平行調、下属調とその平行調の5つです。

 セカンダリー・ドミナント・コードは、通常のドミナント・コードと何ら変わりありません。ただ使い方が異なるだけです。ダイアトニックのドミナントはトニックに解決し、終止するために使われますが、セカンダリー・ドミナント・コードは擬似的な転調をすることで響きに彩りを添えることが目的で使われます。ですから、変化記号が増えるに従い、調性感は弱まっていきます。ドミナント・コードの構成音を変えることはできませんから、それ以外の音をどうするかでスケールが決まります。

 まずは基本的な、つまり主調からの離脱感がもっとも少ないコードスケールを紹介しましょう。ご覧のように、解決先のダイアトニック・コードがメジャー・コードの場合は「ミクソリディアン・スケール」を、マイナー・コードの場合は「ハーモニック・マイナー・スケール・パーフェクト・フィフス・ビロウ(以下P5Bと略記)」か「ミクソリディアン・フラット6」を使うのが基本となります。青色の音符がナチュラル・テンション、赤色の音符がアヴォイド・ノートで、この2種類が非和声音となります。メロディーや伴奏を作る際には、この2種類の非和声音が、ルールに従って処理されねばなりません。

ここでの譜例は、次のコード進行にセカンダリー・ドミナントを挿入したものです。

※以下の譜例で「ハーモニック・マイナー・スケールP5B」のテンションが「9」になっていますが、正しくは「♭9」の間違いですので、ご注意ください。

C Major Key
G Major Key
D Major Key
A Major Key
E Major Key
B Major Key
F-sharp Major Key
C-sharp Major Key
F Major Key
B-flat Major Key
E-flat Major Key
A-flat Major Key
D-flat Major Key
G-flat Major Key
C-flat Major Key

II-V のコード・スケール

 セカンダリー・ドミナントもやはりツー・ファイブ化できますが、そのII度コードに対するコード・スケールは何を使えばよいのでしょうか。

II-VのIIは2種類です。メジャー・キーであれば○m7、マイナー・キーであれば○m7(-5)。ダイアトニック・コードスケールでは、前者は「ドリアン・スケール」、後者は「ロクリアン・スケール」を使うのが通例ですので、セカンダリー・ドミナントに付随するII度和音にもやはり、この方法が適用されます。

※以下の譜例で「ハーモニック・マイナー・スケールP5B」のテンションが「9」になっていますが、正しくは「♭9」の間違いですので、ご注意ください。

C Major Key
G Major Key
D Major Key
A Major Key
E Major Key
B Major Key
B Major Key
F-sharp Major Key
C-sharp Major Key
F Major Key
B-flat Major Key
E-flat Major Key
A-flat Major Key
D-flat Major Key
G-flat Major Key
C-flat Major Key

 ダイアトニックのマイナー・コードの前に挿入されるセカンダリー・ドミナントの場合、そのコード・スケールはハーモニック・マイナー・スケールP5Bが用いられますが、そのバリエーションである「スパニッシュ8」も使うことができます。そうすると、更に「#9th」のテンション・ノートが増えることになります。

VII/IIIのセカンダリー・ドミナントに関しては、ハーモニック・マイナー・スケールP5Bよりもさらに変化記号が少ない「オルタード・ドミナント・スケール」を用いることもできます。この場合のコードは「VII7(-5)」となります。

オルタード・ドミナント・スケールの一覧はこちら

後続するコードに基づいて選択されるコード・スケール

 後続するコードのコード・スケールに応じて、セカンダリー・ドミナント・コードに用いるコード・スケールを変更する考え方があります。

 メジャー・コードに関しては、トニック・コードに採用されるのは「イオニアン・スケール」の他に「リディアン・スケール」がありますが、それに対してもやはり「ミクソリディアン・スケール」を用いて問題ありません。

マイナー・コードに関しては、いくつかのバリエーションがあります。

① 後続のコードが和声的短音階に基づく場合

 後続するコードがハーモニック・マイナー・スケールに基づいたものである場合には、セカンダリー・ドミナント・コードのコード・スケールも当然、ハーモニック・マイナー・スケールP5B(あるいはスパニッシュ8)に変更できます。すでに見たように、「V7/IIIm」「V7/VIm」ではハーモニック・マイナー・スケールPB5が用いられていました。これは、ダイアトニック・スケールへの配慮からでしたが、「V7/IIm」に関しては「ミクソリディアン♭6」が用いられていました。変化記号が1つ増えてしまいますけれど、これをハーモニック・マイナー・スケールP5Bに変更できるわけです。

① C Major Key
① G Major Key
① D Major Key
① A Major Key
① E Major Key
① B Major Key
① F-sharp Major Key
① C-sharp Major Key
① F Major Key
① B-flat Major Key
① E-flat Major Key
① A-flat Major Key
① D-flat Major Kety
① G-flat Major Key
① C-flat Major Key

② 後続するコードが旋律的短音階に基づく場合

 後続するコードがメロディック・マイナー・スケールに基づいたマイナー・コードの場合、セカンダリー・ドミナント・コードのスケールを「ミクソリディアン♭6」にすれば、コード・スケールが一致させられます。

 II-Vの譜例で、IIImおよびVImに対するセカンダリー・ドミナント・コードは「ハーモニック・マイナー・スケールP5B」を採用していましたが、これを「ミクソリディアン♭6」に変更してみましょう。

② C Major Key
② G Major Key
② D Major Key
② A Major Key
② E Major Key
② B Major Key
② F-sharp Major Key
② C-sharp Major Key
② F Major Key
② B-flat Major Key
② E-flat Major Key
② A-flat Major Key
② D-flat Major Key
② G-flat Major Key
② C-flat Major Key

③ 後続するコードが自然的短音階に基づく場合

 セコンダリー・ドミナントがダイアトニックのマイナー・コードに解決する場合、それらのマイナー・コードは基本的にそれぞれのチャーチ・モード基づきます。IImならばドリアン・スケール、IIImならばフリジアン・スケール、VImならばエオリアン・スケールです。

 けれども、すべてのマイナー・コードをナチュラル・マイナー・スケール、つまりエオリアン・スケールに基づいて進行させることもできます。その時のセカンダリー・ドミナントに適用されるコード・スケールは「ハーモニック・マイナー・スケールP5B」と「スパニッシュ8スケール」になります。

③ C Major Key
③ G Major Key
③ D Major Key
③ A Major Key
③ E Major Key
③ B Major Key
③ F-sharp Major Key
③ C-sharp Major Key
③ F Major Key
③ B-flat Major Key
③ E-flat Major Key
③ A-flat Major Key
③ D-flat Major Key
③ G-flat Major Key
③ C-flat Major Key

特殊なセカンダリー・ドミナント(II7)

II7はダイアトニックのV7に対してドミナント・モーションを生じるので「ダブル・ドミナント・コード(DD)」と呼ばれます(ドイツ語では”Doppel Dominant”)。他のセカンダリー・ドミナントが各ダイアトニック・コードに解決するのに対し、このダブル・ドミナントは多様な進行が可能になっています。

 DDは基本的に、V7 – I のドミナント終止の前に置かれるわけですが、そこにサブ・ドミナントまたはサブ・ドミナント・マイナーを経由させる場合もあります。また、サブドミナント、サブドミナントマイナーからドミナントへ進まずにそのままトニックに終止させてしまうこともあります(サブドミナント終止、サブドミナント・マイナー終止)。やや特殊な進行としてはDDからTへ直接つなげてしまう場合もあります。

 ダブル・ドミナント(II7)に用いられるコード・スケールの代表的なものは「リディアン・ドミナント」になります。また、ダイアトニックに配慮したコード・スケールとしては「ミクソリディアン」が用いられます。その他には「ホールトーン・スケール」「コンビネーション・ディミニッシュ」「オルタード・ドミナント」も使用可能です。

リディアン・ドミナント・スケールの一覧はこちら

ホールトーン・スケールの一覧はこちら

コンビネーション・ディミニッシュ・スケールの一覧はこちら

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特殊なセカンドリー・ドミナント(IV7)

IV7の解決先は♭VIIとなるので、メジャー・キーでのダイアトニック・コードにはない進行先となります。7thはキーのトニックと短3度の関係にあるので、ブルーノートの一つと考えられています。

 したがって、ブルーノートを含んだ特殊なサブドミナントとして用いられ、セカンダリー・ドミナントの機能とは別種のコードと解されています。ただし、サブドミナント・マイナーの代理コードの一つである「♭VII7 」へ進む時のみドミナント・モーションが生じます。

 IV7の基本的なコード進行は以下のようになります。